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執筆者の写真seikataimama

簿記会計少しづつ学んでみよう!⑩

売買目的有価証券・満期保有目的の債権

売買目的有価証券が時価評価される理由

  投資者にとっての有用な情報は有価証券の期末時点での時価のもとめられると考えられ

  る為、時価を持って貸借対照表価額とする。

売買目的有価証券の時価評価にともなう評価差額が当期の損益として処理される理由

  売却をする事について事業遂行上等の制約が無く、時価の変動に当たる評価差額が

  企業にとっての財務活動の成果と考えられることから

評価損益の計上根拠

①投資のリスクからの解放

    時価の変動により利益を得る事を期待して保有しており、

    売却する事について事業遂行上の制約が無い

    時価の変動が生じた時点で、事前の期待が事実として確定

②実現可能概念

    いつでも売却可能な市場が存在し、随時換金可能であり、

    売却する事に事業遂行上の制約が無い

    実現損益に準ずる性格のものとして当期の損益として認識

満期保有目的の債権の貸借対照表価額の決定方法

  取得原価を持って貸借対照表価額とする。

  ただし、債券を債券金額より低い価額または高い価額で取得した場合において、取得価

  額と債券金額との差額の性格が金利の調整と認められる時は、償却原価法に基づいて

  算定された価額をもって貸借対照表価額としなければならない。

満期保有目的の債権の時価評価が行われない理由

  時価が算定できるものであっても、満期まで保有することによる約定利息及び元本の

  受け取りを目的としており、満期までの間の金利変動による価格変動リスクを認める

  必要が無いことから、原則として償却原価法に基づいて算定された価額をもって

  貸借対照表価額とする。

関係会社株式・その他有価証券

 子会社株式および関連会社株式は、時価評価を行わない

   理由:子会社株式については、事業投資と同じく時価の変動を財務活動の成果とは

       捉えなおという考え方に基づき、取得原価をもって貸借対照表価額とする。

       関連会社株式については、他企業への影響力の行使を目的として保有する株式

       であることから、事業上の事業投資と同様の会計処理を行うことが適当である為

       取得原価をもって貸借対照表価額とする。

 その他有価証券は時価評価が行われる

   理由:投資情報としても、企業の財務認識としても、国際的調和化の観点からも、

       これを、時価評価し適切に財務諸表に反映することが必要である。

 その他有価証券の評価差額

    事業遂行上等の必要性からただちに売買・換金を行う事には制約をともなう要素

    もあり、評価差額をただちに当期の損益として処理することは適切でない為、

    評価差額を当期の損益として処理することなく、税効果を調整の上、純資産の部

    に記載する。

    企業会計上、保守主義の観点から、これまで認められていた低価法による価格

    の考え方を考慮し、部分純資産直入法を適用して、時価が取得原価を下回る銘柄

    の評価差額は損益計算書に計上することもできる。

デリバティブ取引

  デリバティブ取引とは、取引により生じる正味の債権または債務の時価の変動により

                保有者が利益を得または損失を被るものをいう。

  デリバティブ取引の貸借対照表価額の決定方法

                時価を持って貸借対照表価額とし、評価損益は、原則として

                当期の損益として処理する。

                (通常、差金決済により取引が行われる為、投資者および企業

                 双方にとって意義を有する価値は当該正味の債権又は債務

                 の時価に求められることから時価評価する)

                (取引により生じる正味の債権および債務の時価の変動は、

                 企業にとって財務活動の成果であると考えられる為、当期の

                 損益に評価差額は処理する。)

 先物取引とは、売り手と買い手が将来の一定時点において、一定の商品を契約した価格

           (先物価格)で売買する事を約束する取引

 スワップ取引とは、金利等から生じる将来のキャシュフローを交換する取引

 オプション取引とは、将来の一定時点において、一定の価格で、一定の商品を売買する

              権利を売買する取引

分かりやすいデリバティブ

リスク回避のために取引する金融派生商品

株式、債券、為替、金などの現物価格に連動して価格が決まる商品のこと。金融商品から派生することから、金融派生商品と呼ぶこともある。

デリバティブ取引の代表的なものは、銀行や証券会社が顧客と個別に売買を行うオプションやスワップである。オプションとは、あらかじめ定められた期間内に、予定価格で金融商品の売買を選択する権利の取引のことをいう。

デリバティブは、金融商品の価格変動リスクを回避あるいは低下させる目的で開発されている。例えば、輸出に依存する日本企業にとって、円高は為替リスクとなって経営に悪い影響を与える。そこで、円高がある水準を越えれば補償金を支払うという内容のデリバティブがあると、円高の影響を最小限に食い止めることができる。

確率的に発生するリスクをうまく分散させるデリバティブは、企業経営の手法として利用価値が高い。デリバティブ商品は、リスク回避の目的だけでなく、投機的な目的で取引されることもある。

最近では、気候変動を対象にしたデリバティブ商品も開発されている。三井住友海上火災保険の天候デリバティブは、梅雨どきの不快指数が80以下の日数が54日を上回る場合、最大で補償金として1400万円を受け取ることができるという。カラ梅雨や冷夏で売り上げに影響するリスクを回避するのが狙いだ。

ヘッジ会計

  ヘッジ会計とは、ヘッジ取引の内一定の要件を満たすものについて、ヘッジ対象に係る

            損益とヘッジ手段に係る損益を同一の会計期間に認識し、ヘッジの

            効果を会計に反映させるための特殊な会計処理

 ヘッジ会計の必要性、ヘッジ対象およびヘッジ手段に係る損益を同一会計期間に認識

               させるヘッジ会計を適用する事で、両者の損益を期間的に合理的

               に対応させ、ヘッジ対象の相場変動による損失の可能性がヘッジ

               手段によってカバーされているという経済的実態を財務諸表に反映

 繰延ヘッジとは、時価評価されているヘッジ手段に係る損益または評価差額を、ヘッジ対象

            に係る損益が認識されるまで純資産の部に置いて繰り延べる方法

            契約時       決算日                決済日   

 〈ヘッジ対象〉       その他有価証券差額金  ⇒  投資有価証券売却損益

                       純資産               損益

 〈ヘッジ手段〉       繰延ヘッジ損益       ⇒      先物損益

                    純資産                  損益

 時価ヘッジとは、ヘッジ対象である資産または負債に係る相場変動等を損益に反映させる

            ことにより、その損益とヘッジ手段に係る損益とを同一の会計期間に認識

            する方法

            契約時       決算日                決済日   

 〈ヘッジ対象〉       その他有価証券評価損益  ⇒  投資有価証券売却損益

                       損益                 損益

 〈ヘッジ手段〉            先物損益       ⇒      先物損益

                       損益                 損益

ヘッジ取引の種類

①公正価格ヘッジ

     〈ヘッジ対象〉        ⇒                  〈ヘッジ手段〉      

       国債など    公正価格の変動により損失回避      国債など 

                   (債権の価額)

②キャッシュ・フロー・ヘッジ

     〈ヘッジ対象〉        ⇒                  〈ヘッジ手段〉    

     変動金利の借入金    キャッシュ・フロー           金利スワップ取引

                      の変動を回避           (変動金利を固定金利に

                                            交換)

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