純資産の表示
1)純資産とは、資産と負債の差額
2)株主資本は純資産のうち株主に帰属する部分
3)払込資本は株主資本のうち株主が払い込んだ元本を意味します。
【株主資本と純利益のクリーン・サープラス関係】
特定期間における資本の変動額と当該期間の利益の額が一致する関係を
クリーン・サープラス関係と言います。
財務報告の情報開示において特に重要とされる当期純利益と株主資本が
クリーン・サープラス関係にあるため、この関係を重視して株主資本と株主
資本以外の各項目に区別する事とされています。
【新株予約権の性格】
新株予約権は権利行使の有無が確定するまでその性格が確定しません。
また、権利行使された場合は払込資本、権利行使されなかった場合は
新株予約権戻入益として当該期の利益となります。
株主資本等変動計算書
株主資本等変動計算書に記載すべき項目については、次のような考え方があります。
1)純資産の部のすべての項目とする考え方
すべての項目を記載⇒国際的な会計基準との調和重視を図る
2)純資産の部のうち、株主資本のみとする考え方
株主資本の変動のみを記載⇒当期純利益と株主資本の関係重視
3)現行制度上採用されている方法
株主資本は変動額を変動事由ごとに表示
株主資本以外は変動額を純額で表示
⇒国際的調和の観点
⇒事務負担を考慮
⇒株主資本とそれ以外の項目の有用性の違いを考慮
株主資本の区分表示
【企業会計基準における株主資本の区分】
企業会計基準は、投資者保護の為の情報開示の観点から元本と果実を
明確に区別すべきとする考え方より、資本金、資本剰余金、利益剰余金を
区別することを要求しています。
さらに基準では会社法の考え方を取り入れて、資本剰余金、利益剰余金
の各項目をそれぞれ準備金と剰余金に区別する事としています。
なお、金融商品取引法上、株主資本は基準にもとづいた区分によって表示
します。
Ⅰ 資本金
Ⅱ 資本剰余金
1 資本準備金
2 その他資本剰余金
------------------------------払込資本
Ⅲ 利益剰余金
1 利益準備金
2 その他利益準備金
------------------------------留保利益
【会社法会計における株主資本の区分】
会社法は株主と債権者の利害調整の観点から分配可能額を構成する
剰余金とそれ以外の資本金、準備金に区別することを重視して株主資本を
区分しています。
なお、会社計算規定とは会社法の規定により委任された会社の計算に
関する事項を定めた法務省令の事を言います。
Ⅰ 資本金
Ⅱ 準備金
1 資本準備金
2 利益準備金
--------------------------------分配可能額を構成しない項目
Ⅲ 剰余金
1 その他資本剰余金
2 その他利益剰余金
--------------------------------分配可能額を構成する項目
計数の変動
【株主資本の計数の変動】
会社法においては、株主資本の計数の変動について、いつでも株主総会の
決議(一定の要件を満たす場合には、取締役会の決議)で行う事ができるとさ
れています。基本的に、払込資本は払込資本内で、留保利益は留保利益内で
の全ての組み合わせの計数変動が認められており、いわゆる資本と利益は、
基本的に区別されています。
【利益剰余金がマイナスの場合における、その他資本剰余金による補填】
負の残高になった利益剰余金をその他資本剰余金で補うのは、払込資本
に生じている毀損を事実として認識するものであり、払込資本と留保利益の
区分の問題にはあたりません。
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